もしも海外に行くことになったら
猫を海外に連れて行く
猫を海外に連れて行くだけなら、マイクロチップ・狂犬病の注射2回・抗体検査の採血をすませれば、最短1〜2か月で出発できます(行き先の国の条件によって変わります)。気をつけたいのは「日本に帰るとき」で、採血の日から180日以上たってからでないと、空港の施設に預けられてしまいます。滞在が半年より長ければ、その180日は海外にいる間に過ぎるので問題ありません。短い滞在のときは、出発の前から早めに採血しておきましょう。
- 出発までの準備
- 最短1〜2か月
- 日本に帰れるのは
- 採血から180日後〜
- 費用の目安
- 11.1万〜23.5万円(往復・ペット1匹)
- 日本の出国検査
- あり(無料)
⚠ 滞在が半年より短いときは早めに採血を日本に着く日が、採血から180日より前だと、足りない日数だけ空港の施設に預けられます。180日は日本にいる間も数えるので、帰る日から逆算して早めに採血しておけば大丈夫です。下のスケジュールで日付を入れると確かめられます。
日本を出るときにすること
- マイクロチップを入れるISO規格のもの。入れる前に打った狂犬病の注射は数えられないので、いちばん最初に。番号が900202で始まるチップは今は使えません。
- 狂犬病の注射を2回生後91日以降に1回目、30日以上あけて2回目。生ワクチンは使えません。猫も同じです。
- 抗体検査(採血)2回目の注射のあとに採血し、国が指定する検査施設で調べます(日本では相模原市の生物科学安全研究所)。0.5IU/ml以上で合格、結果は採血から2年有効です。
- 行き先の国の条件をそろえる輸入許可、寄生虫の駆除、証明書の様式などは国によってちがいます。下の「行き先の国のルール」で確かめてください。
- 動物検疫所に輸出検査を申し込む出発の14日前までに、インターネット(NACCS)かメールで。国によってはもっと早く準備が必要です。
- 出発の日に空港で輸出検査英語の輸出検疫証明書をもらいます。オーストラリアやEUなど、獣医師の署名がいる国は予約が必要です。検査の料金はかかりません。
行き先の国のルール
行き先の国が求める条件は国ごとにちがいます。国をえらぶと、その国のくわしいページに進みます。
日本に帰るときにすること
- 帰国の40日前までに届出着く空港の動物検疫所に届け出ます。遅れると原則受け付けてもらえず、着く日を早める変更もできません。
- 狂犬病の注射を切らさない有効期間が切れる前に、現地の病院で追加の注射を。切れると注射2回と抗体検査からやり直しになり、また180日待つことになります。
- 抗体検査の有効期限は2年採血から2年をすぎて帰るときは、採血と検査のやり直しが必要です。
- 帰る10日前から、現地で健康証明現地の獣医の証明に、政府機関の裏書き(アメリカならUSDA)が必要です。動物検疫所の推奨様式(Form RE)を使うと確実です。
- 空港で輸入検査書類と処置に問題がなければ12時間以内に終わります。採血から180日に足りないときは、足りない日数のあいだ空港の施設で係留(費用は自己負担)。書類に不備があると最長180日です。
費用の目安
ペット1匹を北米に往復で連れて行き、自分で手続きする場合の目安です。人の航空券は入っていません(ペットの飛行機代は、人の運賃とは別に1ケージごとにかかる料金です)。
ペット1匹あたり・人の航空券は含みません
合計の目安11.1万〜23.5万円
マイクロチップ入っていなければ。登録料こみ
5,000円〜1万円狂犬病の注射 2回1回 3千〜5千円
6,000円〜1万円日本の病院の書類英語の証明書など
5,000円〜2万円ペットの飛行機代(往復)人の航空券とは別に1ケージごと。ANA:同じ地域内2.5万円、北米・欧州など4万円
5万〜8万円クレート(IATA基準)飛行機に乗れる箱
1万〜3万円現地の獣医の健康証明帰国の10日前から
1.5万〜4.5万円1ドル=150円くらいで計算。行き先の国の手数料は国のページで足しています。
飛行機に乗せるとき
- 日本の航空会社は貨物室JAL・ANAの国際線は、ペットを客室に乗せられません。手荷物として、空調のある貨物室に預けます。
- ANAの料金(1ケージ・片道)同じ地域の中(例:羽田〜バンコク)2万5千円、地域をまたぐ(例:羽田〜ロサンゼルス)4万円。予約は電話だけです。
- 乗れない子ANAは、生後4か月未満、妊娠中、心臓や呼吸の病気がある子、鎮静剤を使った子は乗せられません(JALは生後8週未満が不可)。
- クレートの大きさIATA基準のクレートを用意します。ANAはクレートとペットの合計45kg、3辺の合計292cmまで。
- 手荷物で運べない国ANAでは、イギリス・香港・オーストラリア(パースを除く)に入る便はペットを預けられず、業者を通した貨物になります。
- 鼻の短い猫も注意ペルシャ・エキゾチックショートヘアなど鼻の短い猫は、暑い時期に断られる航空会社があります。予約のときに確かめてください。
飛行機のどこに乗る?(貨物室・貨物便・客室)をくわしく ›
移動が苦手な猫でも飛行機に乗れる?
健康な猫なら、多くは乗れます。猫は環境の変化に弱いので、クレートを「いつもの安心できる場所」にしておくことがいちばん効きます。高齢・持病がある子は、乗せても大丈夫か必ず獣医に相談してください。
クレートに慣らすスケジュール
🧺家のにおいのタオルを入れるいつも使っている毛布やタオルで安心させます。
🙈クレートに布をかけて暗く外が見えないほうが落ち着く猫が多いです(航空会社によって、かけてよい布の決まりがあります)。
🚽トイレシーツを敷く長い時間になるので、吸水シーツを敷いておきます。
🍽ごはんは出発の数時間前までに乗ってからは食べられません。水は給水ボトルをつけます。
✈️直行便を選ぶ乗りかえがないほど、待つ時間と負担が減ります。
💊鎮静剤は使わない空の上で呼吸や体温が乱れることがあり危険です。不安が強い子は獣医に相談を。
言葉の意味と、なぜ必要か
マイクロチップ
米つぶほどの小さな電子タグを首の後ろの皮ふの下に入れ、15けたの番号で「この子」を見分けます。注射や検査の記録はこの番号にひもづけるので、チップを入れる前に打った注射は「この子に打った」と証明できず、数えられません。だから、いちばん最初に入れます。番号が900202で始まるチップは今は使えません。
狂犬病
狂犬病は、かまれるなどしてうつるウイルスの病気で、発症するとほぼ100%亡くなります。人にもうつります。日本では1957年を最後に国内で出ていない、世界でも少ない「狂犬病がない国」です。海外から入りこまないように、犬・猫などを日本に入れるときは、注射と検査で「うつっていない・うつらない」ことを確かめます。
狂犬病の注射を2回打つ理由
1回だけだと、ウイルスと戦う力(抗体)が十分につかない子がいます。30日以上あけて2回打つことで、確実に抗体をつけます。生ワクチンは使えません。日本に帰るための条件で、行き先の国に入るために必要な国もあります。
抗体検査(採血)
注射のあと、血液をとって「狂犬病と戦う力(抗体)が十分についたか」を調べます。0.5IU/ml以上で合格です。国が指定した検査施設(日本では相模原市の生物科学安全研究所)でしかできず、結果まで2〜3週間ほどかかります。結果は採血から2年間有効です。
採血から180日のルール
狂犬病は、うつってから症状が出るまでが長いことがある病気です。抗体がついたことを確かめたあと、さらに時間をおくことで安全を確かめます。だから日本に着く日は、採血の日から180日以上あとでないといけません。180日は日本にいる間も数えるので、出発前に採血しておけば、そのぶん早く帰れます。足りないと、足りない日数だけ空港の施設に預けられます(費用は自分持ち)。
輸出検査(動物検疫所)
日本を出るときに、国の動物検疫所がペットの健康と、注射・チップの記録を確かめ、英語の「輸出検疫証明書」を出してくれます。これが行き先の国で入国の書類になり、日本に帰るときにも「日本から出た記録」として役立ちます。出発の14日前までに申し込み、検査の料金はかかりません。
帰国の40日前の届出
日本の動物検疫所が、書類や注射・検査の記録を前もって確かめ、着いた日の検査や係留の準備をするためです。40日前をすぎると原則受け付けてもらえず、着く日を早める変更もできません。帰りの日が決まったら、すぐに出しましょう。
健康証明書と政府の裏書き
出発の直前に獣医が「健康で、病気のしるしがない」と証明します。さらに国の機関(日本なら動物検疫所、アメリカならUSDA)が確認の署名をすることを「裏書き」といいます。裏書きがあると、相手の国が「その国の政府が確かめた書類」として受け入れてくれます。多くの国で「出発の10日以内」など有効期限があります。
狂犬病の注射の追加
狂犬病の注射には有効期間(ふつう1年など)があります。切れると、日本に帰るときに注射2回と抗体検査からやり直しになり、また180日待つことになります。切れる前に現地の病院で追加し、証明書をもらっておきます。
指定地域
日本が「狂犬病が出ていない」と認めた地域で、アイスランド・オーストラリア・ニュージーランド・フィジー・ハワイ・グアムの6つです。日本から直接行って、そこだけにいて帰るなら、日本に帰るための注射・抗体検査・180日の待機は条件になっていません(マイクロチップは必要)。
係留(けいりゅう)
空港などの施設にペットを預けて、病気がないかしばらく様子を見ることです。書類がそろっていれば短時間ですみますが、足りないと長くなり、費用は飼い主が払います。
IATA基準のクレート
国際航空運送協会(IATA)が決めた、飛行機でペットを運ぶための箱の基準です。中で立って向きを変えられる大きさ、丈夫な作り、空気の通り道、水入れなどが決まっています。合わないと乗せてもらえません。
鎮静剤を使わない理由
眠くなる薬を使うと、空の上の気圧や温度の変化の中で、呼吸や体温の調整がうまくできなくなることがあり危険です。航空会社も鎮静剤を使った動物を断っています。
よくある質問
Q猫を海外に連れて行くのに、最短でどれくらいかかりますか?
A出発するだけなら、マイクロチップ・狂犬病の注射2回(30日以上あける)・抗体検査の採血をすませれば、最短1〜2か月です(行き先の国の条件で変わります)。ただし日本に帰れるのは、採血の日から180日以上あとです。滞在が半年より長ければ、この180日は海外にいる間に過ぎます。
Qなぜ狂犬病の注射と抗体検査が必要なのですか?
A日本は1957年を最後に国内で狂犬病が出ていない、世界でも少ない国です。狂犬病は発症するとほぼ100%亡くなり、人にもうつるため、海外から帰る猫には「注射で抗体がついている」ことの証明が求められます。注射を2回打つのは確実に抗体をつけるため、抗体検査はそれを血液で確かめるためです。
Q採血から180日たつ前に日本に帰るとどうなりますか?
A足りない日数のあいだ、着いた空港の動物検疫所の施設に預けられます(係留)。費用は飼い主の負担で、その間は家に連れて帰れません。180日は日本にいる間も数えるので、帰る日から逆算して早めに採血しておきましょう。
Q費用はいくらかかりますか?
Aペット1匹を北米に往復で連れて行き、自分で手続きする場合で11.1万〜23.5万円くらいが目安です。人の航空券は入っていません。ペットの飛行機代は、人の運賃とは別に1ケージごとにかかり、ANAなら北米・欧州は片道4万円、アジアは2万5千円です。ペット輸送の業者にまかせると、数十万円ほど上乗せになります。
Q猫は飛行機の客室に一緒に乗れますか?
AJAL・ANAの国際線は乗れません。手荷物として、空調のある貨物室に預けます。海外の航空会社には、ケージこみで7〜8kgくらいまでの小さい猫なら客室に乗せられる会社もあります。イギリス・オーストラリア・香港などは貨物でしか運べません。
Q数週間の旅行でも連れて行けますか?
A行けますが、日本に帰るのは採血から180日以上あとでないといけません。たとえば8月に帰るなら、2月ごろまでに採血をすませておく必要があります。このページのスケジュールで日付を入れると、間に合うか確かめられます。
Q移動が苦手な猫でも大丈夫ですか?
A健康な猫なら、多くは問題なく移動できます。出発の8週間くらい前からクレートを部屋に置き、中でごはんを食べるなどして「安心できる場所」にしておくのがいちばん効きます。鎮静剤は使えません。高齢・持病がある子は、連れて行くかどうかも含めて獣医に相談しましょう。
出典・確認日(2026年10月26日)
近くの動物病院をさがすこのページの内容は2026年10月26日に、動物検疫所・各国の公式ページなどで確かめた目安です。ルールは変わることがあるので、必ず公式ページでも確かめてください。